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症例紹介

急性腰痛に対するMT-MPS

鍵隆
2023.02.08 UPDATE

著者  :鍵 

Keyword :腰痛 変形 疼痛増悪

 

(症例紹介)

83歳、男性

 

(主症状)

R4.9.21 急性腰痛にて来院。変形性腰椎症 骨粗鬆症にてトリガーポイント注射、痛み止め(ロキソニン)と外用薬、リハビリ処方

10.1痛みが治まらず、注射

10.06さらに痛みが続くため、痛み止め(トラムセット)追加

 

(評価 初期)

9.29腰痛の既往あり。以前にもリハビリ通院していた。

 安静痛(―)、夜間痛(―)、運動痛(+)しびれなど神経症状(―)、SLR-t(―)ROM 屈曲 側屈 回旋 制限なし  動作 中腰姿勢が一番痛い

 

(治療1回目)

側臥位15分。腰椎殿筋に擦過を主体に治療。

(実習ガイドブック小林紘二著P82⑦⑨⑩、②③④⑥+外側広筋、両側)

膝抱え、腰の軽い回旋など体操指導。

 

(評価2回目)10.6

L3~L5の棘突起の圧痛++

ROM 痛みの為、計測不能。

動作 膝軽度屈曲位で腰椎フラット。固まったまま動かせない。起居動作 かなりの痛みを伴い、介助が必要なくらい。数mの歩行でもかなりの痛みを伴う。

 

(治療2回目)

側臥位15分。腰椎殿筋に擦過を主体に治療。

(実習ガイドブック小林紘二著P82⑦⑨⑩、②③④⑥+外側広筋、片側のみ)

治療中は痛みが緩和した様子であったが、起き上がり時の疼痛(++)

安静指示。ごく軽い体操のみとする。

 

(結果考察)

急性腰痛の症例であった。初回治療時には可動性の制限はなく、ADLにも大きな問題は認められなかった。筋性疼痛の可能性が高いと考え、急性期におけるMT-MPSの治療で対応可能かと思われた。1回目の治療後には、疼痛も寛解し、歩行などADLにも全く問題はなくなった。しかしながら、2回目再来院されたときには、1回目よりも疼痛の増悪と起居や歩行動作にも支障をきたし、著明な影響が認められた。レントゲン上、明らかな骨折は判明しづらいが、症状から考えても圧迫骨折の可能性が高くなった。このように、高齢で急性発症の腰痛の場合には、初めは筋関節性疼痛のように動くことが可能であっても、数日後に悪化しうることには、十分留意する必要がある。患者様への説明にも注意が必要であると考えられた。

 

(参考)

・2回目評価時の姿勢

・今回の1回目評価時のx-p

・1年前のx-p

 

鍵隆(takashikagi)

前田整形外科クリニック 理学療法士