急性腰痛に対するMT-MPS
著者 :鍵 隆
Keyword :腰痛 変形 疼痛増悪
(症例紹介)
83歳、男性
(主症状)
R4.9.21 急性腰痛にて来院。変形性腰椎症 骨粗鬆症にてトリガーポイント注射、痛み止め(ロキソニン)と外用薬、リハビリ処方
10.1痛みが治まらず、注射
10.06さらに痛みが続くため、痛み止め(トラムセット)追加
(評価 初期)
9.29腰痛の既往あり。以前にもリハビリ通院していた。
安静痛(―)、夜間痛(―)、運動痛(+)しびれなど神経症状(―)、SLR-t(―)ROM 屈曲 側屈 回旋 制限なし 動作 中腰姿勢が一番痛い
(治療1回目)
側臥位15分。腰椎殿筋に擦過を主体に治療。
(実習ガイドブック小林紘二著P82⑦⑨⑩、②③④⑥+外側広筋、両側)
膝抱え、腰の軽い回旋など体操指導。
(評価2回目)10.6
L3~L5の棘突起の圧痛++
ROM 痛みの為、計測不能。
動作 膝軽度屈曲位で腰椎フラット。固まったまま動かせない。起居動作 かなりの痛みを伴い、介助が必要なくらい。数mの歩行でもかなりの痛みを伴う。
(治療2回目)
側臥位15分。腰椎殿筋に擦過を主体に治療。
(実習ガイドブック小林紘二著P82⑦⑨⑩、②③④⑥+外側広筋、片側のみ)
治療中は痛みが緩和した様子であったが、起き上がり時の疼痛(++)
安静指示。ごく軽い体操のみとする。
(結果考察)
急性腰痛の症例であった。初回治療時には可動性の制限はなく、ADLにも大きな問題は認められなかった。筋性疼痛の可能性が高いと考え、急性期におけるMT-MPSの治療で対応可能かと思われた。1回目の治療後には、疼痛も寛解し、歩行などADLにも全く問題はなくなった。しかしながら、2回目再来院されたときには、1回目よりも疼痛の増悪と起居や歩行動作にも支障をきたし、著明な影響が認められた。レントゲン上、明らかな骨折は判明しづらいが、症状から考えても圧迫骨折の可能性が高くなった。このように、高齢で急性発症の腰痛の場合には、初めは筋関節性疼痛のように動くことが可能であっても、数日後に悪化しうることには、十分留意する必要がある。患者様への説明にも注意が必要であると考えられた。
(参考)
・2回目評価時の姿勢
・今回の1回目評価時のx-p
・1年前のx-p