急性腰痛症に対するMT-MPSを用いた一症例
症例報告 急性腰痛
(症例)84歳 女性
(現病歴)前日夕方に椅子から立とうとした際に腰臀部に痛みが生じる。
時間の経過とともに疼痛が徐々に増してくる。
寝返りもうてず、咳、くしゃみをしても右臀部に激痛
翌日朝立ち上がることもままならず、ご家族の方に抱えられ来院
(所見)施術ベッドに移動する際にも壁やベッドを支えにしつつ移動。
股関節屈曲により臀部を後方に突き出した体幹前傾位。
ベッドに手をついてしか立てない。(筋性疼痛症候の臨床観察P179図Ⅴ‐22)
動き出しや一歩踏み出すごとに右臀部に疼痛あり。
右上後腸骨棘付近の疼痛が最も強い。
疼痛が強すぎ運動検査、神経症状テスト実施できず。
(1回目施術)受傷後2日目 側臥位→10~15分
腰臀部、背部、大腿部、下腿部に側臥位で施術
寝返りうてないので右側のみ
(2回目施術)受傷後3日目 側臥位→10~15分
前日と同様。
施術後ベッドを支えに立ち上がった際に疼痛緩和姿勢がやや改善。
施術後の画像あり
帰宅時車に乗り込む動きが前日よりスムーズに。
(3回目施術)受傷後4日目 側臥位、背臥位→10~15分
前日と同様。
やや動きが改善していたため、背臥位にて両下肢にも施術。
ベッドの支えなしで立ち上がり可能に。
(4回目施術)受傷後6日目 側臥位(両側)、背臥位→10~15分
寝返りが可能になったため、両側に施術。
立ち上がり動作時の疼痛かなり消失。
施術後の画像あり
(考察)
急性腰痛で整骨院に来院される方はかなり多いように思う。
その際疼痛が強く運動検査が出来ないケースも多々ある。運動検査が出来ない状態の時には患者の姿勢や動きを注意深く観察することが非常に重要だと思われる。今回のケースは運動検査が実施できないケースであったが、股関節屈曲位という特徴的な姿勢が診られたためキーとなる筋肉の推測がしやすかった。また、施術の際にキーとなる臀部領域だけでなく脊柱領域、大腿領域、下腿領域まで全般的な筋弛緩を導くことで全身の血流状態や筋緊張も良好となり早期の回復につながったと考えられる。
受傷後3日目施術後
受傷後6日目施術後